CONTAX Sonnar T* 2.8/135 AEJとは?
撮影者の仕上がりイメージをいともたやすく超えてくるレンズというものがあります。今回紹介するのはそんなレンズのひとつ「CONTAX Sonnar T* 2.8/135 AEJ」です。
CONTAXとは
西側のツァイス・イコンが1971年にカメラ事業を中止した後、カール・ツァイスは日本のカメラメーカーヤシカとブランド等に関するライセンス契約を締結し、以後コンタックス(CONTAX )はヤシカが製造・販売するカメラのうちカール・ツァイスブランドのレンズを採用した高級機種に付けられるブランド名となって復活した。1983年ヤシカは京セラに吸収合併され、コンタックスブランドも同社へ引き継がれた。
2004年京セラはカメラ事業を縮小し、併用していた「京セラ」ブランドのデジタルカメラを廃して「コンタックス」(CONTAX)に統一すると発表した。しかし直後の2005年に京セラはコンタックスを含むカメラ事業から撤退することとなり、4月11日には同年9月のコンタックス事業終了が発表され、コンタックスは再び休眠ブランドとなっている。アフターサポートは継続していたが、2015年4月30日の受付をもって補修サービスを終了した。
via wikipedia
AE型のSonnar 135mmが製造されたのは、ヤシカ/コンタックスの初期のラインナップからということで1975年からMM型に切り替わった1985年までのようです。おおよそ40年ほど前のレンズということになります。いわゆるオールドレンズのひとつ。
デジタルカメラで使用する場合、基本的にマウントアダプターを介したマニュアル操作になるのでAE型でもMM型でも操作には大きな違いはありませんが、絞り羽の形状がAE型はF4~F5.6あたりで手裏剣型になります。気になるならば形状が変更されたMM型を選ぶしかありません。(といっても限られた条件でしか気にならないと思われます)
ちなみにAE型の良品ランクのものならば概ね2万円前後で流通しています。
今さら40年前のレンズを使うわけ
ひとつは単純に以前からSonnarというレンズが気に入っていたから。Flickrなどで目にするSonnarのタグが付いた写真はどれもスパッとキレが良く、135mmという焦点距離も相まって撮影していて気持ちいいことが容易にイメージできます。同時に被写界深度がとても浅く、MFレンズであることを考えると扱うのに手こずることも目に見えます。
それを解決してくれたのがEOS R6というわけです。EVF内でのピント拡大やピーキング、ボディ内手ブレ補正のおかげで扱いにくさは大幅に解消します。まぁ、最近のミラーレスであればこの辺りの事情はだいたい似たようなものなのでR6が特別ということでもありません。
とはいえ、EVFを用いて撮影するならば撮って出しが自分の感覚と合うかどうかは大きな違いになるかと思います。ファインダー覗いてるときに見えるのが「コレコレ!」って絵だと気持ちいいでしょ?
作例
開放で
まずはこのレンズを手に取るきっかけになった絞り開放から。新緑の雑木林ではじわっとしたボケの中にスッと起ち上がる立体感がすばらしい。
鶏の写真はレリーズの瞬間に鶏が立ち止まってしまい若干前ピンになってしまいました。3mほど離れていたかと思いますが被写界深度の浅さが伝わるかと思いそのまま載せることにします。
絞って
続けて絞って2枚。カラーの方はF5.6で背景に少し玉ボケになる光源を入れてみました。丸ではないのは分かりますが、手裏剣状かと言われると気になるほどではないのでは?という印象。それ以上に開放で残っていた滲みが消えてすっきりとした描写になります。
白黒の方はF22まで絞って木漏れ日による光条を見てみました。6枚の絞り羽から伸びる光条はEVFで見ているとキラキラと美しく映像向きな効果と感じます。もちろんスチルでも点光源が多く入ってくるような場合は、画面がうるさくなりすぎずに済みます。
逆光で
最後は逆光。金網の写真はフレーム外側のすぐ上に太陽があるようなほぼ真逆光のシーンで絞り開放で撮影したもの。ある程度のフレアを発生させながらも芯のあるコントラストと光を纏ったような描写に「Zeissのレンズに期待するのはこれ!」と感じる方も多いのではないでしょうか。40年前のSonnarでも健在です。
続く藤の花の写真はF2.8で口径食を見てみました。多少レモン型になっていますが、比較的おだやかでグルグルもしておらず、主役を邪魔することはありません。
迷っているなら買い
さて、CONTAX Sonner T* 2.8/135 AEJがどんなレンズかということはご覧の通り。開けてヨシ、絞ってヨシ、逆光でもヨシでおまけにおおよそ2万円前後とお値段もヨシと、寄れないこと(最短撮影距離1.6m)以外はほとんど欠点らしいところがありません。
なにげなく撮るものがいちいちドラマチックに切り取れる楽しいレンズ。状態の良いSonnarを見つけたら「迷わず買い!」です。