デジタルカメラが当たり前になり、カメラの付いたスマートフォンが誰の手にもある時代。撮影し、編集し、そしてそのまま公開できる誰もがフォトグラファーと言える時代になりました。絶景を紹介する本やウェブサイトも数多あり、フォトジェニックなスポットへ行けばずらりとフォトグラファーが並ぶ、そんな光景を見ることも珍しくありません。
SNSへよいキレイな写真を投稿したい、そのためにカメラを手にする。それはそれで素晴らしい動機です。しかし、それらを取り巻く環境を見渡した時、私の中に「それでいいのだろうか?」と疑問が浮かびました。
写真の楽しみ方は人それぞれですし、撮影技術やカメラの操作にRAW現像やレタッチを解説する書籍・サイトも数え切れないほどありますが、なぜその写真が良いと思えるのか、素晴らしいと思えるのか、それらを分解し自分自身のロジックとして再構築するための技術を語る書籍・サイトは少数です。
慣れないうちは有名な技法や撮影スポットで「なぞる」ことは大切です。私自身もそうでした。
しかしある時、自分の撮る写真にマンネリを感じどこかで見たような写真ばかりになっていることに気が付きました。本当にしたかったことは何だろう?本当に撮りたいと思っていた写真はなんだろう?と自問した時、かつて学んだデザインの基礎やデッサンのことが頭をよぎりました。
伝えることとは何か、それを形にするためには何が必要か。写真とデザインでは最終的な形はやや違いますがどちらもビジュアルメディア、伝えるという意味で通底するロジックは共通です。
だから私はここで始めます。写真というメディアで世界を描く、そのプロセスを綴る試みを。