派手な桜は悪手なのか?
桜の季節なので桜を題材にして色のことを考えてみたいと思います。きっかけは以前書いた「彼岸花で理解する色(色相・明度・彩度)の関係性」という記事に質問をいただいたこと。
何回も読んでるんだけど、最後の桜の例は彩度が低くて明るい桜と比較的ビビッドな緑の草のバランスがとれていると解釈した。とすると、桜の季節によく見る「桜の花びらめっちゃピンク」な写真は悪手なのか/彼岸花で理解する色(色相・明度・彩度)の関係性 – Imaging World https://t.co/sEm8s9ObmH
— みーな@写真 (@meenaphoto) 2019年3月26日
仕事帰りにちょうど質問いただいた状況に近い桜が咲いていたので撮ってみました。(以下、色彩に関する用語が多めですがひとつひとつ説明すると本題が見えにくくなるので、検索してみたり、文末で紹介する書籍などを読んでみてください)
この桜はもともと色が強めの種なのですが、花びらが散るとより色の強いガクが残り、鮮やかな葉も出てきます。ガクを撮ろうという人はあまりいないかも知れませんが状況としては近いと思います。
率直に言って(散った後とは言え)あまり美しいとは言えませんよね。先ほどの記事でも解説したとおり補色関係でバチバチしている(ハレーションが起きている)状態で、桜に葉が出てくるとあまりキレイに感じられないのも同様の理由です。
明るくなるとどうなのか?
隣の木がちょうど満開だったので比較のために撮ってみました。
街灯の光が当たっていたことと花が付いていたことで画面内の色の成分が先ほどとかなり違うものの、花びらの彩度が低く、ところどころある白に近いものがセパレーションの効果を生んで落ち着いて見られる状態になっています。
確かに、ピンクと緑のダイアード(補色)配色でまとめるなら彩度をコントロールするのが手っ取り早いと言えるかもしれません。でも、それだけじゃバリエーションが少ないですし何よりつまらないですよね。
他の配色パターンも考えてみる
ということで、他のパターンを考えてみました。例えば上の写真は色相差が90°になる4色でまとめるテトラード配色にしてみたり。(厳密に90°というわけではありませんが)
先ほどの質問ツイートへリプライした、トライアード(色相差120°の3色)やスプリットコンプリメンタリー(メインカラーとその補色を挟んだ2色)をペールトーンやライトトーンでまとめるといったバリエーションも面白いと思いますので、桜を撮影するときは周囲の環境との配色を考えて楽しんでみてください。