イマジナリーラインでストーリーを感じさせる構図を作る

擬人化された山小屋

今回は画面の中に現れる線をテーマにしてみようと思います。先日、谷川岳を登山した際に見たこの景色。いわゆる誰が撮っても大勝利となる場所なのですが、その理由に今回扱う線の要素が深く関わっています。

それはタイトルにもしているイマジナリーライン。

wikipediaにある説明を引用します。

映像は鑑賞する者を時間的に拘束する(かつては、見直しのきかなかった)媒体である。イマジナリーラインとは、そんな映像を一度見ただけで理解できるようにするために発見された原則の1つである。
イマジナリーライン

元々は映画用語ですが、つまりは関係性を分かりやすく理解させるための構成線。写真を構成する要素としても大いに使えます。

山小屋を擬人化する構成線

今回の作例の中のイマジナリーラインを見てみましょう。

イマジナリーライン

左下の肩の小屋から谷を越えた川棚の頭を結ぶラインがこの写真でのイマジナリーライン。肩の小屋の屋根のラインを延長した線がピタリと川棚の頭を指していることで意識しやすくなっていますが、このことにより肩の小屋を擬人化しストーリーを感じやすくさせる構図にすることができるわけです。小屋の周囲に見える登山者の姿もストーリー性を補強してくれる重要な要素です。

軸を決めてから構図を整理する

複合的にセオリーに当てはめる

イマジナリーラインという軸を作れば、あとは画面を整理していく作業です。主題となるラインを邪魔しない様にS字のラインを組み合わせたり、役割を決めて領域を分割していきます。

領域と役割

今回の例ではこのようになりました。といってもこの場所、もともと要素が整っているのであとはどのぐらいの画角で収めていくのか、どのような光の状態で撮影するのかといったことの方が重要かなと思います。

ちなみに夏場は色彩的にも赤い屋根が風景の緑と補色関係を作りますので、日中のさわやかな風景がよりキリッと締まります。