水平が不安定になりやすいシンメトリーな構図をバランスさせるアシンメトリー要素

シンメトリーな複合構図

またまた夕焼けが続いてしまいました。今回は夕焼けによる補色関係の構成にもう一歩踏み込んだ構図を組んでみます。要するに冒頭の写真がどうやってできているかというビジュアルウェイトや指向性に関連した話です。

まずは分解してみる

今回の写真は一見すると単純な三分割と三角を組み合わせたものに見えますが一筋縄ではいかない細かい罠がたくさんあります。その罠がなんなのかという話に入る前にまずは冒頭の写真がどう構成されているか分解してみましょう。

消失点で奥行を

船の舳先の並んだラインと舷側のラインで手前に向かう三角形を作っています。いわゆる二点透視ですが、注目して欲しいのは最も手前にある舳先。ここが太陽を通る中心線からズレているのがポイントです。

なぜか傾いて見える問題

なぜか傾いて見える

舳先をズラしたのはなぜなのかという話の前にこちらの写真を見てください。ほぼ同じ場所・時間に撮影した別カット。水平はしっかりととってあるにもかかわらずちょっと右に傾いて見えます。水準器を使っているのに傾いて見えてどう水平をとったらいいのか分からなくなるという経験に心当たりがある方もいるのではないでしょうか。

これが先ほどの舳先をズラした理由につながる現象。傾いて見える写真を分解してみると…

傾いて見えてしまう理由

こうなっていました。水平垂直はバッチリです。

しかし、右下に偏った暗い領域に輪をかけて並んだ船の舳先が強力な指向性を生んでいます。おまけに船尾のラインや対岸の空との境のラインも後押ししていて心理的に傾いて見えてしまう条件が揃いすぎています。(水面も対岸も右に向いたくさび形を作っている)

ズラすと上手くいく

そこで撮影ポイントをズラすことで色々な不安要因を避けてみようというのが冒頭の構図です。とにかく色々ズラしながら最終的にシンメトリーな構図を作ります。

基礎はド真ん中

シンボリックな要素はド真ん中

基本は夕陽というシンボリックな要素があるのでド真ん中のシンメトリーな構図です。偶然ですが雲の流れるラインも太陽からの放射線に沿っているのでシンボリックな雰囲気を後押ししています。

撮影ポイントをズラすとバランスする

様々な要素がバランスした

撮影するポイントを数歩ズラしたことで画面内のさまざまな要素がバランスしました。矢印だけ見ても意味が分からないと思うので一つ一つ説明します。

1つ目はメインになる船の舳先を中心線からズラしたこと。尖ったものを突きつけられるのはイヤですよね?という嫌悪感の回避と同時に2や3の要素に繋がる要因です。

2つ目は撮影ポイントがズレたことで水平が崩れて感じる要素だった船の並びによる指向性を弱めること。同一方向へ向いていたものを扇状に拡げたことで右下一辺倒でなく左下や右上にも舳先が向くことになりました。特に左端の船が中央の船と真逆に向いたことにより偏りは大きく均されました。そして3に続きます。

3のカウンターウェイトとはなんぞ?という話ですが、右下に偏っていた重さを緩和するために2の指向性をバラすということをやりました。それ自体も右下に偏った重さへのカウンターではあるのですが、もう一押ししておきたいというのが3の要素。中心付近(目に付きやすい場所)で左方向へ向かうラインを杭の影で作って補助のウェイトにしたわけです。

基本はシンメトリーに配置しつつ細かいアシンメトリーな要素でバランスをとりながら最終的にシンメトリーに感じさせるという話でした。なんだか水平がよく分からないな〜という時はちょっと思い出してみてください。