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カメラバッグに対する悩みは尽きない
カメラ機材の充実(沼にハマるとも)とともに悩み深くなるのがカメラバッグ。撮影スタイルはもちろん、持ち歩く機材も人によって様々で、それを反映してか様々なメーカーから多種多様なカメラバッグがリリースされています。
最近ではデザインも洗練されたバッグも多くみられるようになってきましたし、プロカメラマンであるstudio9の中原さんが監修したEnduranceシリーズの様に使い勝手を突き詰めたものも出てきました(私自身もEndurance Extを1年ほど使っています)。
実際、Endurance Extを使ってみて収納力や使い勝手も考え抜かれているなと実感していたにも関わらず、どこかしっくりきていないと感じる部分があり、Peak DesignのCamera Cube(Medium)を試してみることにしました。
Peak Design Camera Cubeとは?
サイズとコンセプト
Camera CubeとはPeak Designが2018年にリリースしたTRAVEL BACKPACK 45Lに機材を収納するインナーボックスです。TRAVEL BACKPACKはその名の通り旅行向けの大柄なリュックで、それ自体にはカメラ保護のためのコンパートメントを持たず、3サイズ(Small/Medium/Large)のCamera Cubeをユーザーが持ち運びたい機材量に合わせて選ぶバッグになっています。
各Camera Cubeのサイズは以下の表の通りです。
サイズ | 幅 | 高さ | 奥行 |
---|---|---|---|
Small | 32cm | 16cm | 17cm |
Medium | 32cm | 32cm | 17cm |
Large | 32cm | 46cm | 17cm |
当然ながらTRAVEL BACKPACKにピタリとはまる設計で、どのサイズも幅と奥行きは揃えられています。似たような設計思想のカメラバッグとしてf-stop(とICU)も風景フォトグラファーを中心によく見かけるようになりましたが、今回はCamera Cubeの購入記ですのでICUについて掘り下げません。Camera Cubeと比較するとf-stopのICUはサイズのバリエーションが豊富ながら価格がやや高めの設定になっています。
Mediumの収納力
話をCamera Cubeへ戻します。今回購入したMediumに手元にあった機材を詰めてみました。
ちょっと統一感のない機材構成ですが、左上からPENTAX 67用 200mm F4、Voigtlander 58mm F1.4(Nikon F用)、AF-S Micro-Nikkor 105mm F2.8G、そしてSIGMA 24-105mm F4 ARTを装着したNikon F800Eです。
深さがあることと途中で立体的に折れ曲がる仕切り板が秀逸で、効率よくスペースを使うことが出来るのがうれしいですね。上の写真ではPENTAX 67 200mm F4の上に仕切りを入れてミニ三脚(Leofoto MT-03)を収納するスペースを作っています。
スマートフォン撮影の写真で心苦しいのですが試しに14mmから600mmまでのフルレンジが入るか試してみたところ、こちらもしっかり収まりました。内訳は14-24mm F2.8、24-105mm F4、150-600mm F5-6.3ですので、いわゆる大三元セットも収まるかと思います。
TRAVEL BACKPACK大きすぎ問題
なかなか使い勝手の良さそうなCamera Cubeですが、なるべく普段から使おうとするとひとつ問題があります。
といってもCamera Cubeそのものではなく、TRAVEL BACKPACKの45Lという大きさです。トラベルフォトグラファーには良いサイズかと思いますが、さすがに普段も使うバッグとして考えると大きすぎるので、私は他のバッグと組み合わせて使ってみることにしました。
ただしTRAVEL BACKPACK以外と組み合わせて使う場合は下の写真にあるサイドアクセスやマザーバッグとの固定用のクリップシステムを有効に使うことができなくなりますので、ある程度の割り切りは必要です。
GREGORY COMPASS 30と組み合わせてみる
素直にTRAVEL BACKPACKを使えばCamera Cubeのフル機能(サイドアクセスやバッグ内固定クリップなど)を使えるのですが、いかんせん大きい。また、個人的な(機材の)事情ですがEndurance Extの収納力や背負い心地の不満点を解消するものが欲しいということからGREGORYのCOMPASS 30というバッグと組み合わせてみることにしました。
フィッティングはバッチリ
COMPASS 30とCamera Cube Mediumのフィッティングは図ったようにピッタリ(というか購入前に測っておいたのですけど)。Camera CubeはSmall / Medium / Largeともに底面のサイズが揃っているのでCOMPASS 30にはどれでもピタッと収まってくれるということですね。
バッグが四角く30Lクラスながら収納力が大きいので、TRAVEL BACKPACKでは大きすぎるという方にはちょうどいい選択肢になると思います。
背負い心地は
機材を目一杯詰め込んだ時の背負い心地はどうだろう?ということでやってみました。
COMPASS 30はバックアクセス(背面が開く)というタウン向けのバックパックとしては珍しいつくりをしています。PCポケットを兼ねた背面のパッドもフレーム等は入っておらず柔らかい。届いた当初は「これは見誤ったかな…」と少々の不安を覚えましたが、いざ上の写真にある機材を詰め込んでみたところ、意外なほど重さを感じることなく背負うことができました(もちろんそれなりに重いです)。
170cmの私が背負うとこのような感じ。ウェストベルトもなく、ショルダーハーネスもやや薄めであるにも関わらず、各部のショルダーハーネス・チェストストラップをしっかりアジャストすれば背中全体に重量がかかる感覚です。さすがに日常的にこの重さを背負って歩くのは避けたいとは思うものの、機材を運ぶという用途で考えると予想していた以上に快適です。
どんな使い方ができる?
COMPASS 30はバックアクセスタイプということは先述の通り。EnduranceやPeak DesignのEveryday Backpackのように最初からカメラバッグとして作られたもののようなサイドアクセスはありませんので、ストリートスナップなどの歩きながら機材へのアクセスが必要になる方には向きません。
一方で、基本は標準ズーム(またはお気に入りの一本)を使いつつ、休憩ポイント(や撮影拠点)で特定のレンズに交換するといった使い方には向いています。機動力よりも機材のバリエーションを確保したいといったスタイルです。とはいえ、Peak Designのキャプチャーといった携行ギアとレンズポーチで拡張すればある程度の機動力も確保できます。
また、スッキリした外観とは裏腹に、バッグ表面の両サイド(黒いライン)がループになっているので工夫次第でバッグ外側への拡張も可能というのも面白いポイントです。(見た目はともかく三脚固定用のベルトを着けるとか)
今回はMediumサイズのCamera Cubeと組み合わせてみましたが、カメラ機材の量が少なければSmallにしておいて2泊ぐらいまでの旅行はこれでいけると感じています。(Mediumでも1泊分ぐらいならなんとかなりそうです)
MAMMUT Trion Pro 35+7と組み合わせてみる
せっかくバッグと機材コンポーネントを切り離せるのだから登山用ザックと組み合わせない手はありません。というよりもこちらが最終目的でもあるのですけど、MAMMUTのTrion Pro 35+7と組み合わせてみました。バッグとしての背負い心地は登山用ザックということもあり、重量を的確に分散できる設計になっているので申し分ありません。
しかしながら、収まりは結構無理があります。それもそのはず、Trion Pro 35+7の幅は30cm。入らないことはないもののギッチギチで、Camera Cubeをやや潰さないと収納しきれません…
ちなみにサイズの大きいTrion Pro 50+7でも幅は同じく30cm。マチ(奥行)が35の22cmに対して24cmと若干余裕があるのでもう少しすんなり入るかとは思いますが、f-stopのICUか、Manfrottoのアクティブショルダー7あたりで代替するのが良さそうです(私はアクティブショルダー7の前身モデルを使っています)。
登山用のカメラ保護はもう少し考える必要はありますが、Camera Cubeは将来が楽しみなインナーケースですので今後に期待したいですね。(アルカスイスタイプのクランプシステムの様にザックとインナーケースが規格化されると悩みも減りそうですね)