「画角」で考えるシャッタースピード、相対速度を意識した撮影

2019-03-09

シャッタースピードのコントロールで何ができる?

ハイスピードで動きを止めるとか、逆にやや遅めのシャッタースピードの流し撮り、水流を滑らかに描くスローシャッター(他にもありますが)など、シャッタースピードをコントロールすることで非日常的なイメージを実現することができます。

とはいえ、先に挙げた撮影スタイルはいずれも比較的シンプルな動きを表現することが一般的です。今回は画角と奥行を意識することでひとつのシャッタースピードで複数の動きを捉える撮影に触れてみたいと思います。

ワンショット(ひとつのシャッタースピード)で複数の動きを捉える

ワンショットに様々な水の様子を収める

ひとつのシャッタースピード(つまりワンショット)で複数の動きと文字で書かれても分かりにくいと思いますので、実際の写真を見てみましょう。撮影データは24mm 1/10 F9.0 ISO100です。いくつかのシャッタースピードを試し、1/10で水が滴る氷柱、流れる滝、滝から散る飛沫という水の3様態を1枚に含めることができました。

同じ速さで動くものでも位置によって写り方が変わる

画角と移動量の相対的な関係

先ほどの写真のロジックを図にしてみるとこのようになります。カメラは基本的に風景から円錐状の空間(の中の四角いスペース)を切り取って平面(イメージセンサー、撮像面)に捉えているだけです(図の左)。なのでフレーム内に同じ速度で動く物体がある場合、相対的にカメラ(撮像面)に近いほど大きく、遠いほど小さな動きとして写ります(図の右)。

これを先ほどの写真に当てはめると、画面中央の氷柱と滴る雫は動きがゆっくり、その後の滝は動きが速い、滝から飛び散る飛沫は滝本体よりも動きは遅くしかも遠い、というそれぞれの位置と動きの関係。いくつかのシャッタースピードを試しながら最終的に1/10で雫は止まり、滝は流れ、飛沫は飛沫として認識できる程度に止まる一枚になりました。

仕組みとしては単純、しかし実践は難しいというテクニックです。様々なシャッタースピードを試すことで面白いワンショットを収めていきたいですね。

可変NDフィルターなどと組み合わせるとチャレンジしやすそうです。