パンフォーカス。レンズの絞りを絞り込み、近景から遠景まで画面全体にピントを合わせる技術で、風景写真などでよく使われる手法です。今回はそんなパンフォーカスの写真の中でボケとは別のアプローチで視線誘導するロジックを考えてみます。
まずは画面を構成する線的要素。岩に根付く高山植物の力強さに惹かれたので、中央付近に置きつつ岩のエッジや山の稜線などで放射線を構成しています。
単純に線的要素でも十分に主役である高山植物に視線が流れる構成にはなっていますが、この写真ではよりスムーズに目が流れる要素が含まれています。それが今回のタイトルにもしているコントラスト。
全体にピントが合っている中でより手前に視線をグッと寄せるのは前後のコントラストの強さの差。近いものはハードに、遠くのものはソフトにすることで自然と手前にあるものを近く感じることができます。
といってもカメラとそれぞれのポイントの間にある空気の量がその差を作ってくれるので、意図した強さが得られない場合のレタッチの選択肢として覚えておくぐらいでいいと思います。ちなみに、空気遠近法については以前の記事で触れていますので、そちらも合わせてどうぞ。
もう一つが色でのコントラスト。真っ青な空と岩肌の黄色みで補色関係になる対比となります。こちらも基本的にその場の偶然ではあるのですが、色補正をする際に色の関係をうまく活かせると見せ方の幅が広がります。
色の関係性についても以前の記事で触れていますのでご一緒に。