彩度と明瞭度のコントロールで荒廃的な雰囲気に仕上げるRAW現像テクニック

彩度と明瞭度のコントロールで荒廃的な雰囲気に仕上げるRAW現像テクニック

現像・レタッチスキル

荒廃的なイメージに仕上げた森

これまで構図に偏った記事構成だったのですこしRAW現像にもスポットを当ててみようと思います。前回の緊張感を演出する色作りに続き、今回も心理面からアプローチします。キーになるのは彩度と明瞭度、この2つのパラメータをトリッキーに扱っていきます。

現地の雰囲気

元の雰囲気

トリッキーな現像を始める前に一旦ノーマルなアプローチを見ておきます。日の出前の薄暗い森で、元々こんな風に撮ろうと思っていた・仕上げようとしていたというものです。本来ならばここで狙っていたイメージが作れれば終了ですが、せっかくなので表現の幅を拡げるために様々なアプローチをしてみましょう。普段から仕上げ方のバリエーションを増やしておけば、現場でのアプローチにも幅が出ますしね!

トリッキーな彩度調整

大まかな彩度をガツッと決めてしまう

レンズ補正とプロファイル(カメラニュートラル)を設定したら彩度と自然な彩度を大胆に振ります。

自然な彩度とは

従来の「彩度」が適用範囲の彩度を均等に調整するのに対して、「自然な彩度」は彩度が高いカラーへの影響を抑えながら、彩度が低いすべてのカラーの彩度を調整します。特に複雑なカラーを保持する写真や、肌色を補正する場合に有効です。
https://www.adobe.com/jp/joc/pscs4/retouch/retouch01_03.html

彩度で全体的な鮮やかさをガクッと下げて、自然な彩度でほのかに色を戻しています。ふたつの彩度パラメーターの性格からフラットに近い状態になりますが、色あせて荒廃したイメージのベースとするにはもってこいな特性です。

ざらつきでさらに荒廃したイメージを強調する

続いて彩度を落としたことでメリハリが沈みすぎてしまったので明瞭度で調整します。同時に奥行き感の調整もしたいので円形マスクで消失点周辺を除外したマスクを作り(赤いエリア)パラメータを加減します。ざらついた印象も加えてさらに荒廃感を強調するイメージです。

色温度の調整

色温度変化で生命感を減退させる

いつもは最初の方で調整する色温度ですが、今回は彩度・コントラスト(明瞭度)が大きな役割を持っていたのでこのタイミングで調整しました。先ほどの明瞭度もそうですが、今回は荒廃した世界=生命に乏しい、無機的といった印象からの逆算で、硬質なトーンが出るような方向性で調整しています。

色温度の決め方にしてもホワイトバランスを合わせるという考え方よりも生命感を削るという考え方で決めています。具体的には植物は黄色や黄緑の成分が多く含まれていて、その辺りの色相がみずみずしさ生物らしさを感じる助けをしていますが、これを逆手にとって黄色味を減らし、青味を増しました。

フィルム調の演出をするトーンカーブ

フィルム調の演出をするトーンカーブ

ここからはおまけ的な要素です。これは経験や刷り込みなどの認知による部分ですが、荒廃=相当年数の劣化を経験しているという解釈で時間を感じる要素をフィルム調のエフェクトで演出してみます。

フィルムは感材の特性上、真っ黒が出しにくいメディアです。つまり真っ黒な領域を切ってしまえばそれっぽさが出るということ。有料・無料を問わず配布されている多くのフィルム調プリセットなどでもトーンカーブのダーク領域をカット(フェード)させているものが多いので、ここでも同様の処理をします。

トーンカーブの左下端を少し持ち上げ、そのわずかに右(明るい)領域を下げてコントラストを保たせました。

グレインエフェクトでさらにマシマシ

グレインエフェクト

フィルム調のトーンカーブ処理もしてしまったので、ついでです。グレイン(粒状感)のエフェクトもトッピングしてしまいましょう。

まとめ

最後の方はちょっと蛇足感がありましたが、ひとつの画像から様々なバリエーションの仕上げのアプローチを持っておくのは撮影にも大きなフィードバックがあります。ボツにしたカットでもアプローチの方法を変えてみると新しいアイデアに結びつくということもありますので、たまにはテーマを設定してRAW現像してみるのもいいですよ。