画面内に抑揚をつけ狙ったイメージに近づけるレタッチ設計 【棒ノ嶺 2/2】

前回の「ファインダーを覗く前に構造を理解しよう」という記事でファインダーを覗きながらセオリーに合わせて構図をやりくりするのではなく、被写体の構造を理解した上で構図を組み立てようという話をしました。

その中で最終的にフィボナッチ螺旋に合わせた構図を決定したのですが、今回はそこからどのように仕上げていくのかというレタッチ設計の話をしたいと思います。まずはレタッチ前後を見比べてみましょう。

レタッチの設計

その上で、撮影時にどのような意識をしていたかを振り返ってみます。

紫の斜線(ハッチング)をかけたところは陰、グリーンの斜線は光の当たる面としてレタッチで強調する前提で撮影していました。この中でキーになるポイントを拾い上げてみたのが次の図です。

撮って出しのままでは伝えきれないと感じた落差や沢の空気を表現するため、これらの頂点を利用して面の切り替わりを強調します。

ここで気をつけたいのは「撮れたままのリアル」ではなく「感じたリアル」を目指しているということ。調査目的の記録写真を撮っているわけではありませんし、その場で感じたことを絵画的に表現するというのも写真の楽しさのひとつです。

そのことを踏まえた上で、右手前で主張しすぎる草のコントラストを抑え、滝の頭のディテールを起こすことで主題へ視線を誘導する面を構成します。また、同時に左下の光の当たらない面をグッと暗く落とすことで滝の落差を強調します。

この時に重要になるのが赤丸で示した頂点。特に画面中央付近の出っ張りは重要で、手前から奥へ向かう単調なラインにタメを作るポイントになります。

レタッチの完成

完成図(レタッチ後)

設計でやるべき事がハッキリしたらあとはRAW現像ソフトやレタッチソフトで調整するだけです。

撮影時から被写体の構造をよく観察し調整すべきポイントを決めておくことで、ディテールを詰めるところ抜くところが明確になり、必要以上に白飛びや黒つぶれを気にしなくて済むようになります。

また、レンズの周辺解像度が低いことを逆手に取った画面構成をするなんていうことも面白いかもしれませんね。