1枚の写真を現像するための資料を集めておく

北横岳

3DCGなどを制作する方にはわりと当たり前のことかも知れませんが、今回は1枚の写真を現像するためにそのロケーションで資料となる写真も集めておこうという話です。

構図といった要素の他に画面を構成する岩や木々など、どんな要素があり、それぞれがどのような表情をしているかを知っておくことは写真を仕上げていく上で重要なポイントです。

画角内に含まれるテクスチャを確認する

写真を構成するテクスチャ

さて、冒頭の写真はどのような要素で構成されているでしょうか?

ざっくりと分けると手前の溶岩、ハイマツやその奥の針葉樹といった植物、その先の空といったところです。しかしよく見てみると岩の中にもごつごつした箇所とスパッとエッジのたった箇所があったり、植物も場所によって生えている木が違ったりしています。私はそれらのテクスチャの違いを確認するために周辺の状況も撮影しておくことがあります。RAW現像のための取材ということですね。

素材写真を撮影しておく

これらが実際に集めておいた素材の写真です。縞枯はどんな植生なのか、ハイマツはどんな形状をしているのか、溶岩の表情や質感はどうなっているのかということを詳細に確認することができます。

なぜ素材写真を撮影しておくのか

RAW現像して仕上げると決めた1枚にもそれらは写っているのになぜわざわざ別に撮影しておくのかといえば、記憶は薄れるからです。撮影してきた写真を記憶が鮮明な内に現像することばかりではありませんし、仮に記憶が鮮明な間に現像するとしても詳細な記録があるとそれぞれの素材の「らしさ」を捉えやすくなります。

例えば溶岩にはごつごつとした箇所もあれば割れてエッジがたった断面もあります。それらのテクスチャを別の角度や詳細を確認することでディテールをレタッチする際にどのような処理をするとそのものらしさが引き出せるかといったことを掴む糸口になるのです。

なにより、その画面を構成するひとつひとつの観察を通してその場所らしさを考えることもできますし、単にドラマチックな写真であるという以上に画面に説得力を持たせる大きな手助けになります。現像・フレーミングに迷ってしまうという場合は足下や周辺の観察をしてみるとヒントになるかも知れません。