これまで使った5本のマクロレンズの印象を語ってみよう

たまには機材の話もしてみましょう。今回はこれまで私が使ってきた5本のマクロレンズです。

レビューとせずに印象とした理由はそれぞれ所有していた時期が揃っていなかったり、比較のために同条件での撮影をしていないからです。つまりは感想のレベルですのでその点を踏まえてお読みください。

マクロレンズとは

それぞれのレンズについて触れていく前にマクロレンズとはということを簡単に説明します。

撮像面に対して原寸大以上で撮影できるレンズのことです。35mmフィルム(またはフルサイズセンサー)の撮像面が36mm × 24mm。そこへ同じサイズ(等倍)以上で撮影できるということですね。一般的にマクロレンズと呼ばれるレンズは最大でも1〜1.2倍程度なので厳密にはマクロではないとも言えるのですがあまり細かいことを言うのはやめておきましょう。

実際にはフィルムサイズをそのままのサイズで鑑賞することはないと思いますので、プリントしたり画面で見たりするとかなり大きく写ります。とにかくグッと寄れて大きく写すことのできるレンズです。(ニコンは律儀に定義に沿ってマクロではなくマイクロと呼んでいますが)

また、被写体をそっくりそのまま写し撮ることを目的としているので歪曲収差などの歪みは徹底的に排除されているものが多いのが特徴です。

OLYMPUS ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2.0 Macro

オリンパスのフォーサーズ(一眼レフ規格)用マクロレンズです。実際の倍率は0.5倍ですがフォーサーズ規格は換算倍率が2倍なので35mm版(フルサイズ)換算で等倍となります。

このレンズは自然な立体感がクセになるとてもお気に入りのレンズでした。AFは遅くフォーカスリングもスカスカで操作性はありていに言って褒められたものではありませんが、それを補ってあまりある描写と画面の作りやすさを持っています。オリンパスのフォーサーズレンズはSHG/HG/STDと3つのグレードに分けられこのレンズはHGに分類されていましたが、ネット上では隠れSHGと呼ばれていたことからもこのレンズの評価がうかがえます。

開放F値が2と明るくフォーサーズ規格なので被写界深度も深いことがとにかくいい方向へ働いた1本。もともとの定価も抑えられていておさいふにやさしいのもうれしいポイント。すでに販売終了していて中古でだいたい2万円台で購入できると思います。撮影倍率を等倍にするエクステンションチューブ「EX-25」やフォーサーズ>マイクロフォーサーズアダプター「MMF-3」なども(中古などで)揃えるとプラスで1万円ほど必要になります。

SIGMA MACRO 50mm F2.8 EX DG

通称カミソリマクロと呼ばれるSIGMA MACRO 70mm F2.8 EX DGの兄弟レンズ。描写傾向はそのままに画角が標準ド真ん中の50mmになったと思って間違いはないかと思います。私はマウントアダプター(COMMLITE製)を介してEFマウント用のレンズをSONY α7IIで使用していました。

マウントアダプター経由でのAFは合焦できればラッキー程度の動作でしたが、たいていの場合MFで事足りてしまうので絞り制御さえやってくれればMFしか使えなくてもなんら問題はありません。フォーカスリングはとても軽いですが扱いにくさはなくストレスはありません。

描写はカミソリマクロの名の通りピント面は透明感があり鋭利にキレが立ち、ボケもざわつくこともなく自然につながります。もちろんマクロレンズなので隅までキッチリですし最短18.8cmまで寄れるので使い勝手の良い標準レンズとしてもおすすめできるレンズです。

※ 便宜的にAmazonへEFマウント用のリンクをしていますが異常な価格なのでご注意ください。

ペンタックス用もラインナップされていて、Amazonでも新品が適切な価格で購入可能なようです。ペンタックスとSIGMAと言えばK-1で一部のレンズを装着時にボディへ傷が付いてしまうという問題がありました。調べてみたところこのレンズは問題無いようです。

NIKON Ai AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8D

マクロと呼ぶと怒られる(かも知れない)Micro-Nikkor(マイクロニッコール)です。最新世代の60mm f/2.8Gではなく一世代前の2.8Dです。私が当時使っていたD750用にこのレンズを選んだ理由は、AFが使えてかつ絞りリングも備えていたことにつきます。絞りリングが必要だったのはフィルムカメラであるF3でも使えたから。

やや消極的な理由で選んだレンズですが、D750で初めて撮影した写真を見て驚きました。克明に写すとはこういうことだと言わんばかりにシャープで逆光などものともしない逆光耐性。

コントラストが高く色が鮮やかに乗ることでポートレートなどには向かないかも知れませんが動物などの力強さを表現するには良いレンズだと感じます。

2018年現在、現行品ではありますがすでに後継レンズもありますし中古品を探すのが現実的だと思います。相場は2万円弱程度でしょうか。

NIKON AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G

一眼システムをOM-D E-M1 MarkIIからD800Eへ移行した際に必須条件にしていた等倍レンズとして購入しました。手ブレ補正VRに対応しインナーフォーカスなのでレンズ長が変わらないので使いやすいマクロレンズです。個人的に中望遠の寄れるレンズとしてMakro-Planar T* 2/100を持っているので、中望遠レンズとしてというよりも純粋にクローズアップやブツ撮りが中心の用途です。

今はまだ所有していませんが、テレコンバーターTC-14E III/TC-17E II/TC-20E IIIに対応していて望遠レンズ代わりに使えそうなのも面白いところ。

描写傾向としては同じMicro-Nikkorを冠しているのに前述の60mm f/2.8Dとは打って変わって非常にニュートラルな写りです。趣味として面白いか面白くないかを問われれば面白くないレンズと感じますが、裏を返せば客観的な情報を得るためのレンズとして非常に優秀だと言えます。

Carl Zeiss Makro-Planar T* 2/100

最後はCarl ZeissのMakro-Planar。最大撮影倍率が0.5倍なのでレンズ名にマクロと冠されていても心の中でちょっと引っかかるレンズですが、今回の5本の中で撮影体験という面において群を抜いて楽しめるレンズであることは間違いありません。

滑らかなフォーカスリング、ファインダーのなかでピント面が移る様、そして描き出される写真。そのどれもが官能的です。風景でもスナップでもポートレートでも、そして難しい光線状態でも難なくまとめてしまう不思議なレンズ。等倍を必要としないなら一度は手にして欲しいMFレンズです。

変則的な使い方ですが、マウントアダプターを介してマイクロフォーサーズボディで使用すると200mm F2相当の等倍マクロとして使うことができます。ミラーレスボディではピーキングなどのMF支援も充実していますし、(川や崖を挟んでいて)足場が悪く被写体に近づけないといった場合には頼もしい限りです。

※ Makro-PlanarはモデルチェンジしてMilvus 2/100Mとなっています。外観は大きく変更されたものの光学系に変更がなかったため、メカニカルな外観の旧型に人気が集まり中古相場でもプレミアが付いている状況です。