スローに楽しめるちょい古AFレンズ AF Nikkor 35mm f/2D

2018-11-11
AF Nikkor 35mm f/2D + Nikon F3
AF Nikkor 35mm f/2D + Nikon F3

タイトルで全部言い切った感があります。

ふだん理屈っぽい記事が中心のImaging Worldですが、そもそもは写真をより深く楽しむために始めたブログ。時には感情に全振りした話をしたっていいじゃない、ということでうっかり指を滑らせた結果、手の中に転がり込んできたAF Nikkor 35mm f/2Dについて語ります。結論から言うと「めちゃくちゃ楽しいレンズだからみんな買え」という話です。

なお今回はFマウントでの写りや使い勝手に加え、Xマウントでのマウントアダプター遊びも含めてAF Nikkor 35mm f/2Dについてネチネチとやっていきますのでおつきあいください。

AF Nikkor 35mm f/2Dとは?

Nikon FX(フルサイズ)フォーマット用の35mmレンズで発売は1995年。光学系はAF化される前のAi Nikkor 35mm f/2Sの時代から変わっていないそうで、(記憶違いでした。AF化の際に光学系一新されていたそうです)早い話が現行ラインナップ品でありながらオールドレンズとも言えるようなレンズだということです。

さきほどサラッと流しましたが、このレンズの面白いところは光学系は3020年以上前のものでありながら現役で新品が買えるところ。さすがに中古の流通が主流だとは思いますが、驚くことに未だに現行品。(2018年現在)

今でもMF専用のAiレンズがラインナップされていたりするのでニコンユーザーとしてはそれほど驚くことではないのですけど、デジタル一眼レフどころかフルサイズミラーレスが主流になろうとしている時代に30年前のレンズがラインナップされていると考えるとやっぱりすごいですね。

レンズの成り立ちを語っていても写真を撮る役に立つわけじゃないのでスペックもさらっておきましょう。

焦点距離35mm
最大口径比1:2
レンズ構成5群6枚
撮影距離目盛∞~0.25m、0.9ft(併記)
最短撮影距離0.25m
最大撮影倍率0.23倍
絞り羽根枚数7枚
絞りf/2-22
フィルター径52mm
寸法約64.5mm(最大径)×43.5mm(長さ)、全長約53mm
質量約205g

光学系が古いこともあってか構成枚数は少なめ、その代わり約205gと軽量で、特徴的なのは最短撮影距離と最大撮影倍率でしょうか。倍率的にはクオーターマクロと言っても差し支えない倍率ですし、レンズ先端から15cmぐらいまで寄ることができます。このバランスを持ったレンズは結構貴重です。

なぜいまさらAF Nikkor 35mm f/2Dを買うのか?

AF Nikkor 35mm f/2D + Nikon F3
AF Nikkor 35mm f/2D + Nikon F3

以前からメインカメラであるD800E、そして同じくニコンFマウントのフィルム機であるF3で使える35mmあたりのレンズが欲しいなと考えていたところ… 例によってクラウド防湿庫にAF Nikkor 35mm f/2Dの出物があるのを見つけてしまったというのが身も蓋もない正直な話。コミュレビ山賞の入賞でいただいたポイントがあったことも追い風となって気がついたら注文完了していた…と、そんなところです。

中古相場は2万円前後と手を出しやすい価格ですが、その写りはなかなかエモーショナルです。前身となったAi Nikkor 35mm f/2とVelviaの組み合わせの記憶が鮮やかだったということもありました。

Ai Nikkor 35mm f/2 + FUJICHROME Velvia100
Ai Nikkor 35mm f/2 + FUJICHROME Velvia100

機材を整理した際に一度は手放してしまったAi Nikkor 35mm f/2ですが、ピントピークに丸みのある自然な描写と使い勝手の良さはAF化された後継であるAF Nikkor 35mm f/2Dでも健在。

そして、Fマウントの準広角としての使い勝手の良いレンズであることはもちろん、マウントアダプターを介してXマウントの標準レンズとしても使えるということも個人的にはポイントでした。実際XマウントにもXF 35mm F2 Rなんてレンズもラインナップされていますし、MF専用になることを除けば絞りリングも使えて操作の違和感もほとんどありません。

実際に撮ってみよう

最短近くまで寄ってみる
最短近くまで寄ってみる

スペックだの買った理由だの言っていてもレンズが仕事をするわけではありません。使ってなんぼ。そろそろ実際撮ってみてどうなのよ?という話をしましょう。

まずは純正としての組み合わせ。D800EにマウントしてF5.6まで絞りました。目の付近を見てもらうと分かりやすいかと思いますが、開放から3段絞ってもこれほどしか被写界深度が稼げないほどに寄れます。ちなみ開放F値が1段明るいAF-S NIKKOR 35mm f/1.4Gの最短撮影距離は0.3m、最大撮影倍率は0.19倍。1段分の明るさをトレードオフすることで撮れるものはガラッと変わります。

明るけりゃ偉いってもんじゃないということを教えてくれるレンズです。

絞って紅葉
絞って紅葉

さらに1段絞ってこちらは風景。古いレンズなのでそれなりにフリンジなどは出ますがとても素直な写りが扱いやすい。そう、このレンズの特徴はとにかく「扱いやすい」こと。

35mmという扱いやすい画角、最短25cmまで寄れる近接性能、バキバキすぎず、かといって甘いわけでもないシャープネス、そしてAFを備えながら205gという軽さ。F2開放ではそれなりの収差があるものの、これほど扱いやすい要素が揃ったレンズはそうそうありません。おまけに中古相場は2万円前後とお値段まで扱いやすい。

Xマウントの標準レンズとして使ってみる

Xマウントの標準レンズとして
Xマウントの標準レンズとして

Fマウントのボディにマウントすれば当たり前に使えて十分に応えてくれるレンズということは伝わった(?)かと思いますので、マウントアダプターを介してフジフイルム Xマウントで使ったらどうなのよ?ということに踏み込んでみましょう。

Pro Neg Stdと組み合わせて
Pro Neg Stdと組み合わせて

あざとさが一杯の組み合わせ。開放・半逆光・猫でPro Neg Stdにシャドウを少しフェードさせてみるとノスタルジックなL版プリントっぽい雰囲気のできあがり。

夕暮れの紅葉をVelviaで
夕暮れの紅葉をVelviaで

アウトドアスナップも夕暮れの紅葉をVelviaとグレインエフェクトでスナップすればグッと決まる。いやもう楽しさしかないですよ。ボディがのんびりさのあるX-T20ということもありますけど、バッチリはまります。

特徴的な光条
特徴的な光条

絞った時に点光源に現れる光条はなかなか特徴的。最近のレンズでこのような光条が出るものはあまり見ない気がします。

Hoocap(TM-52)が相性抜群

さて、そろそろ皆さんAF Nikkor 35mm f/2Dが欲しくなってきたころだと思いますが、もう少しおつきあいください。

ここまであえて触れてきませんでしたが、見なれないやや野暮ったいレンズフードが気になりませんでしたか?それが以下の動画で紹介されているHoocap TM-52。

正直ルックスは今ひとつなものの、フルサイズ換算で28mm以上の画角のレンズならレンズキャップとフードをひとまとめにできる優れもの。残念ながらいつの間にかフィルター径が49mm以上のモデル(TMシリーズ)はAmazonでの取扱がなくなってしまったようですが2013年にRed Dot Design Awardを受賞していたりと海外では評価されているアイテム。

詳しいことは以前に別ブログで記事にしているのでそちらをご覧ください。