黒ってなに?という問いから写真の空気感を考えてみる

黒ってなに?

黒を使う時は用法用量をよく考えて

唐突ですが、黒ってなんでしょう?

定義的に答えるならば、光を反射しないがゆえに無彩色で最も暗い状態の色「黒」と呼びます。ではその黒はいったいどこにあるでしょう?

私たちの身の回りに黒いモノはたくさんありますよね。でもそれらはそれぞれに何らかの質感を伴って見えています。質感が分かるということはわずかかも知れないけれど光の反射があるということ。つまりそれは黒っぽいモノであって黒いモノではないわけです。

あぁ…なんともヘリクツっぽい。けれどだいじなポイント。

身の回りに本当の黒はほとんどない

さて、質感が分かるのは黒ではなくて黒っぽいモノということは先ほど書きました。現実の中で真に黒を感じるのは完全に密閉された部屋ぐらいのもので、新月の夜だってほんのり目が利く程度には明るいんですよね。

そんな風に考えると相当な暗さを表現する場合ですら完全な黒は必要ないとも言えます。(もちろん表現にも依るので一概には言えませんが)デジタルカメラが主流の時代になり、ヒストグラムやトーンカーブなどのツールで階調を可視化できてしまうことでついつい真っ白から真っ黒までを使い切りたくなってしまいますが…

学生の頃に映像の授業で完全な白と黒は光と闇のために残しておけと言われたことを思い出します。

黒と空気感の関係

黒に見える中でも微妙なトーンがある

真っ黒はあまり使うことがないという話をしてきましたが、写真を語るときにしばしば「空気感」といった言葉が使われますよね。明確な定義があるわけではなさそうですが、その場の空気や光の雰囲気を表すときに使われる言葉。つまりなにかしら空間のリアリティがを表現されているものだと思います。

リアリティを画面上で表現する上で、不自然(に感じやすい)な完全な黒(または白)というのはちょっと邪魔な存在かも知れません。

単純に「黒」といってもその周辺に拡がる情報を追いかけてみると空間の表現にも繋がったかもという話でした。

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